君を落とすSTEP1






試したくなった。

ここは一つ、俺の実力を発揮するべきだ。





「あ、 あのなんでしょうか」


困った声もふんわりした髪の匂いも好き。
髪の手触りも嫌いじゃなくて、なんだか落ち着いて眠りたくなる。


「何か悲しいことがあったのですか?それともお腹でも痛いのですか?」


ほらまた孫程度の扱いだ。
どんなに格好つけても男前に決めても こいつは眼中にさえ入れてくれないんだ。
日本の家で、のんびり休み。
会いたい会いたいって、こんなに思うから会いに来たけどそれも言えな い。
そんな俺だって悪いだろうけど。

「どうしましょうね…」
「嫌か」

腕の中でほっとした気配。 俺がやっと喋ったからか?
安心するなよちょっとくらい警戒してくれよ。
今お前は俺に抱き締められてんだぞ?
顎をすくえばキスも出 来るし。
頑張れば抱き上げて攫うことも出来る…きっと。きっと出来んだ、笑うんじゃねぇよ!

「いえ、嫌じゃありませんよ。ただ身動きが出来ませんねぇ」

くすくす笑う声。でもそれさえ頭にカッと血が上りそうだ。
悔しいのか恥ずかしいのか自分でもわからねぇ。


「このままずっと抱き締めたいって言ったらどうする」

「え?」

なにがなんだかわからない、こいつを抱き締めただけで。
好きで好きで手を伸ばすことも大変だなんて伊達男の名が泣くだろう。
弟にもどんな知り合いにもこんな姿見せられねぇ。
だけど、こいつがそれ で俺を好きになってくれるなら。
見せてもいいかなんて、そう思うんだ。


「このままずっとお前に抱きついていたいって言ったら」

つまり手段は選んでいられない。

「お前のこと愛してんだって言ったらどうすんだこのやろー」

「へ?え、え」

固まった日本の顔をがっと両手で上げさせれば、トマトみたいに真っ赤な顔。
あ、こいつ今の状況やっと理解したか。


「ロ、ロマーノく ん?」

「好きだ。愛してる。抱き締めたい。お前だけだ、こんな風に思うの」

言えば言うほど気持ちが大きくなって、もう止まらなくなってくる。

「俺をこんなに必死にさせるのもお前だけだ、お前はどうなんだよ」


「  まだ、孫扱い?   」


顔 を近づけて眼を覗き込む。真っ黒で綺麗な瞳。
柔らかいこいつの匂い。コロンじゃないよな、今度教えてもらおう。


「ロマ、ノ、く ん」

「なんだよ」

プルプルして下を向こうとする日本。その顔を追うように俺も身体をかがめる。

「孫だなんて、見れませんよ…!」

こんなことされちゃ、そう言う日本に笑みが浮かんだ。



よっしゃ。第一段階クリア。



end
10.1.20

これからよろしく、愛しい人。落とすから覚悟してろよ?





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