おてがみかきました






大好きな人にお手紙を書いてごらん?
普段は言えないありがとうも、たまには言わないと忘れてしまうから。
でも面と向かって言うのは恥ずかしいんでしょ?
だったら書いてごらん。
誰にも見せないお手紙で。
きっとそしたら少しだけ いつもより優しくなれるから。

「…そんにゃもにょですか」

そうだよ。いるでしょう、大好きな人。

「はい。れも、ゆーとうるしゃいんですよ」

文字はもう書ける?

「あい!じゃあわたしもかいてみましゅ」






「何ですかこの手紙…」
日本が古ぼけた紙を見つけたのは押し入れの箱の、更に奥の奥だ。
あまりに古びた、つたない文字。
まさか古代の歴史的文書?!と解読してみたものの、それは遥か昔に自分自身が書いた文章だった。
しかもあまりに恥ずかしい内容。
「私の所にあった、ってことはしまい込んでいたんですね」
小さい手で、懸命に筆を握っていた頃。
教わったばかりの文字を使うのが嬉しかった頃。
「これ、読まれたら大変ですね」
「何がある」
「うわっ何覗き込んでるんですか」
「私の頼んだ探し物、いつまで経っても持ってこないのは日本ある」
ふんぞり返る中国に、頼まれた本を探していて押し入れを探っていたのを思い出した日本は、慌てて紙を箱に押し込む。
「そうでしたね!すいません!」
「何見ていたある」
「読みましたか?!」
「日本のとこの文字は読めねぇあるよ」
よかった、と胸を撫で下ろしながら手紙を書いた自分を思う。
あの時よりも私は素直で無くなってしまいましたよ、ごめんなさい。
でも、私は本当に変りませんね。ね?
「なんでもないです」
「…本あったあるか」
「いえ、でも場所の見当はついたのでお茶を淹れていていただけますか」
 優しい気持ちで笑う日本に、中国もわからないながら笑う。
「わかったある。土産の饅頭も蒸かすあるよ!」
「…嬉しいです」
















終わり

10.4.14

おてがみ じょうずにかけました!




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