だってなんだか幸せそう
目が覚めるとふかふかあったかいところにいた。
いつもとちがうにおいがして、しらない男の人がぼくを見ていた。
「あ、目を開けましたよ」
ほわほわ笑うその人は、うしろを向いて言った。あれはどあっていうやつ。もうおぼえた。
どあからべつの男の人が入ってきて、ほわほわの人のとなりに座る。
「どうかしましたか?」
「意外と手間取ってな。シャミセンはこういうの必要無かったから」
「あ、妹さんが連れて行かれましたよ」
「シャミセンを?」
その人からは甘いにおいがしてそのにおいでおなかがすいておちつかなくなった。ごはんならはやくちょうだい。
「悪いな、知り合いに預かった子猫なんだけど」
「いえ急に押し掛けたのはこちらですから・・・哺乳瓶であげるんですか?」
「ああ。そうしろと書いてあった」
甘いにおいの人がぼくを持ち上げる。手も甘いにおいで、ちょっと舐めてみた。
手は甘くなかったけど甘いにおいの人はわらって、ぼくのあたまをなでた。
「こーら。ご飯はそっちじゃないぞ」
じゃあごはんはどっちだろう、と思ったらどんどんっていう大きい音がした。
びっくりしたらほわほわの人がかおを押さえて床を叩いていて、甘いにおいの人も目を大きくしてほわほわの人を見ていた。
「・・・帰ってこい古泉」
「え、あ、いえそのあまりに可愛くて・・・」
ほわほわの人は一度せきをしてからにっこりわらった。甘いにおいの人はふしぎそうにしながら、やっとぼくにごはんをくれた。
「まぁ可愛いもんな、ねこ」
「いえそっちではないのですが。まぁいいです」
甘いにおいはこのごはんのみるくのにおいだったんだなぁって思いながらいっしょうけんめー吸いこむ。
甘いにおいの人もほわほわの人もぼくを見ていてちょっとおちつかないけど、二人ともやさしいかんじがした。
「僕達に子供が出来たらこんな風でしょうかね」
「寝言は寝て言え」
「あなたがお母さん、僕がお父さんで、可愛い子供がいて・・・」
「俺は男で母になる気はないとか日本で男同士は結婚出来ませんとか色々言う事はあるがとりあえず可愛い猫を見ての感想はそれか」
「素敵な家庭になると思いますよ」
「人の話を聞け」
甘いにおいの人はやさしいけど、今はちょっとこわい。ほわほわの人が話しているのにむすうってしてぼくのほうをみてる。
ほわほわの人は「しろいかべのいっけんや」とか「ばらのさくおにわ」言ってて、こっちのお顔もちょっとこわい。すっごくうれしそうなところが。
「聞いちゃ駄目だぞ」
でもきこえるよ、って言ったけどわかんなかっただろうなぁ。
「朝出掛ける僕を送り出すあなた、愛妻弁当を差し出して頬にそっとキスを・・・」
「だーっ!そろそろ黙れ古泉!」
ためいきをついた甘いにおいの人がしばらくおこって、ほわほわの人はしゅんってしてたけど。
甘いにおいの人がじつはうれしそうなのは、きっとぼくだけに見えていた。
終わり
08.1.5
でもほわほわの人も、すぐに甘いにおいの人をぎゅってしたんだ。
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