星 君と 冷えた空気
二人で歩いた夜の道。
何故か手を繋いでいたのはきっと冬が近づいていたから。
冴えた空気が頬を冷やして。
きゅっと古泉の手を握っていた。
「古泉、上」
「え?」
きょとんとした顔。赤くなった頬。くいと顎で上を示す。
「星」
古泉が上を向くのと同じように俺も再び上を見る。
黒い夜空には小さな星がぽつぽつと光っていた。
「・・・綺麗ですね」
沈黙の後に優しい声。
「星を見るのは久しぶりです」
その声が妙に感慨深そうで、少し淋しくなった。
腕を引くと、古泉が俺に顔を向ける。
「なんでしょう?」
「星、見に行こう」
「え」
忙しい人がたまに「空を見るのは久しぶりだ」なんて言う。
古泉もそうだろうか。
空を見上げることもないまま毎日を過ごすのだろうか。
でもこいつは星が好きだったはずなのに。
天体観測が好きだったはずなのに。
「プラネタリウムとかじゃなく、ほんとうの。でもすごい数のがいい。
流星群とかじゃなくても、満天の星ってやつ。泊りがけでもいいから、いっぱいの星を見に行こう」
こんなに熱く言うことじゃないかもしれないけど。
でも本当にそう思ったから。
「・・・・・・」
「・・・そうですね」
目を丸くしていた古泉がふわりと笑う。
「見に行きましょう。二人で」
「ん」
そのときは星座でも教えてもらおう。
またこんな風に同じものを見よう。
星を見上げながらつないだ手を強く握りなおした。
END
07.11.16
いっぱいいっぱい同じものを見たら もっと近くなれる気がするから
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