「幸せの対処」







「怖くなることがあるんです」


そう呟いた声は何処か儚げだった。
少し狭いベッドの中、天井を見つめたまま耳を傾ける。


「これは全て夢なんじゃないかって。本当は隣にあなたなんかいなくて、目を覚ましたら一人で」

「お前は俺が不満なのか」


慌ててこっちを見る顔。なんで泣きそうなんだよ、お前。

「違います!ただ・・・」

そんな泣きそうな顔すんなよ。


「怖いんです・・・こんな幸せ、信じられない」

「幸せ?」

「あなたがいる、この今が、僕の人生で最上の幸せなんです」


・・・こいつは気付いているんだろうか。その言葉の、意味を。

お前は幸せを恐れて、そうやって泣きそうな顔をする。
ごめんな、俺はそうやって悲しめないんだ。

握った手はこんなに暖かいのに?

こうして抱きつけば確かに心臓の音が聞こえて、慌てるお前の様子が感じられるのに?


「きょ、キョンくん?!」

「お前はここにいるだろ、古泉・・・」


これが全部夢だなんて、そんなに悲しいこと言わないでくれよ。


「俺もここにいる」

俺はこの幸せが嬉しくて嬉しくて、夢だなんて思えないほどなんだよ。

ああでも、幸せすぎて泣きそうな時はある。そんなに泣き虫じゃなかったはずなのにな。


「幸せなら、そのまま受け止めてろよ」



背中にまわされた手を強く感じると同時に、上から「はい」と泣き笑いのような声が聞こえた。




End


07.10.9

これからもっと もっと幸せになるんだからな?





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