「つい」






俺はいつからかおかしくなってしまった。
健全な男子で、高校生で、興味あるのも可愛い女の子だったのに。

いつのまにかニヤケ面の敬語男にどうしょうもなく恋してる。
一緒にいたいと思って、手を繋ぐのも大好きで、キスも好きで、それからまぁ・・・とにかく、あいつと少しでも長く過ごしたくて。
休みの日も、何かしら理由つけて会ってしまうくらい。2年位前の俺に言ったら正気を疑って終わりだろうな。

そう、俺は決して女々しい方じゃなかったんだ。なのに、今の俺は何だ。
左手にメッシュ地の細身のペンケース。古泉の忘れ物。さっきまで俺の部屋で勉強していたあいつのだ。


玄関まで送った俺に「寒いから早く入ってください」と告げてさっさと帰っていった。
もっと一緒に居たかったのに。姿が見えなくなるまで見送っていたかったのに。
でも俺がドアを閉めなきゃ帰りそうにない古泉が風邪を引いてしまってはいけないから、名残惜しいけどドアを閉めた。


なんでこんなに好きなんだろう。
机の上のペンケースに気付いて思わず手にとってしまうくらい。
古泉のくせに忘れ物なんかすんだな、ってちょっと笑った。普段なかなかしないような、“しょうがないな”って笑い。
明日授業が始まる前に教室に持って行ってやろう。後で忘れてたぞ、ってメールでもしとくか。


・・・なんでだろう。何の変哲の無いペンケースも、あいつの物ってだけでなんだか愛しくて、胸が苦しくなる。

・・・会いたいと、思ってしまう。あいつの笑顔が浮かんで、こんなにも好きで










ガチャ





「すいません忘れ物して、」



「どああああああ!!」


「ぐはあっ!!え?!い、痛いですキョンくん!」
「うるせえよ馬鹿!忘れてんじゃねぇ!」
「だからって投げなくても・・・」
「忘れるほうが悪いんだ!保管してただけでも、よ、よかったと思え!」
「はあそれは・・・。・・・顔がひりひりするのですけど。どれだけ渾身の力で投げたのですか?」
「帰ったんじゃなかったのかよ?!」
「これを忘れたことに気付いたので・・・あれ、顔赤いですよ?まさかさっき寒くて」
「寒くないから帰れ!早く帰れ!」
「はい・・・(しゅん」





End


07.10.16

お前のこと考えてる時に来るなよ、ばか・・・





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