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『惚れた弱み』
「お前も現世組に同行するだぁ?!」
「うるさいなー大きい声出さないでよ」
「わ、悪ぃ・・・ってそうじゃないだろ!!」
突然の話に思わず声を荒げた俺を、弓親が嫌そうに見る。俺が破面対策の現世組の準備をしていた時だ。
出発を数日後に控えていたその日、なんてことない・・・夕飯の話でもするように
「あ、そうだ。僕も行くからね一角と一緒に」と。
あっけらかんと言われた内容に、どちらかというと怒りより驚きが勝っていた気がする。
「あのなぁ、そんなホイホイ行けるもんじゃねぇんだよ」
「何が言いたいの」
何が言いたい、なんてわかっているんだろうが!
そう怒鳴り付けたいのをなんとか堪えた。いちいち怒鳴っていたら埒があかないのは俺にだってわかっている。
「俺は恋次の指名で上からの指令が出ているんであって」
「許可ならあるよ」
「嘘つくんじゃね・・・」
「なんなら更木隊長に聞いてみれば?隊長にも許可もらったから」
まさか本当なのかよ?!
「どうやって・・・」
「一角が行くなら僕も絶対行く!って言ったら隊長が通してくれた」
何してんですか隊長・・・。
ガクリとうなだれる俺の頭にポンと手を置いて弓親は「どうしたのー?一角」と呑気にしていて。
そういえば俺が指名されたって話聞いてもやけに大人しかったなぁ・・・なんて俺は今更後悔した。
なんで気付かなかったんだろう。コイツが面白そうと思ったことを見逃す筈が無いのに。
「お前、面白そうと思ってもいくらなんでも馬鹿すぎるぜ」
「なんで」
「危ないからに決まってるだろ」
「面白そう、なんて理由じゃないよ」
「じゃあ何」
顔をあげた俺の目にうつったのは嬉しそうに笑ったあいつ。
「だって一角僕がいないと駄目じゃない」
そんな風に言いながら艶然と微笑むから。
馬鹿なに言ってんだ自惚れんなよ、て思いながら。
俺はただうなずくことしか出来なかった。
「一角・・・頷いてくれたのは嬉しいけど顔赤いよ」
こいつに惚れた時点でなんかもう、取り返しがつかないとこにきてんのかもしれない。
あぁ・・・俺も馬鹿なのか?
「可愛いー」と笑う弓親に憎まれ口を叩きながらそんなことを思った。
end
05.11.7
手遅れだろうがなんだろうがもう手の施しようなど見つけられない
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